きゃたのーつ ver.1.1

エリートぼっちの文芸倉庫

【SS】インフレーション

こんにちは、きゃたぬきですU・x・U

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インフレーション

 

「間違いなく、武力が足りないのです」
昨今の教育現場はいじめ対応への姿勢が重視され、
各校様々な手段を講じている最中、
それを生業とするビジネスが盛んとなっていた。
「いじめは生徒同士の、関係のほつれから来ると思うのですが…」
「身長190cmのいじめられっ子がいるでしょうか。
空手世界一の児童をいじめようと思いますか。
結局は肉体の強さが大切。

武力さえあれば、いじめる生徒はいなくなるのです」
そう言うが共に、

黒の革鞄からタブレットを取り出し、説明を続ける。

「我が社専属のスタッフには様々な格闘技のプロが控えております。
極めるのは難しいですが、
素人から身を守る程度ならば、
1週間ほどで身につきます」
何やら難解なグラフが画面に映し出されている。
T校長はさほど理解していないが、
悪くはないといった様子である。

「今回は名門校の元体育教師を派遣いたします。

特別体験ですので、代金は…」
「いやいや、それは困ります。

あくまで公立の学校、

公的機関以外の人物を雇うなどとは…」
「ご安心を。我々のスタッフは非常勤講師として派遣致します。
今回は、教育実習生としてお送り致しますが…」
話を聞くにつれ、
教師としても優れた功績のある人物と確認できたT校長は、

これ幸いと契約を結んだ。

 

暫くして、その人物が来た。
既にリストアップされている生徒は、
体操の一環という名目のもとで放課後に補習が行われる。
いじめられていても、やはり育ちざかりの生徒たち。
憎しみと悔しさをバネに、みるみる強くなっていった。
「これならば、いじめっ子を返り討ちですな」
生徒同士でいじめを解決させられる事に、
T校長は満足げな笑みを浮かべた。

 

ところが、学校のいじめは消えなかった。
鍛えられた生徒たちが、

かつてのいじめっ子をいじめ始めたのだ。
「おや、お久しぶりですね。その後、いじめは如何ですか」
「いじめられっ子がいじめを始めたんだ。

それも鍛えられた分タチが悪い。

こちらは毎日、保護者からの電話応対でひっきりなしだ」
「なるほど、なるほど。それはお気の毒に。武心が宿っていなかった訳ですな」
「冗談じゃない、こちらはお前達相手に、訴訟も辞さないぞ」
「まぁまぁ、そう言わずに…」
無駄のない動きで黒の革鞄からタブレットを取り出し、話を続けた。
「 こちらの人物は柔道の全国大会に、

数多くの教え子を送り込んだプロでございます。

いじめられっ子に指導すれば、

名門校の体育程度では到底太刀打ちなど出来ますまい…」

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以上、またこんど!

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きゃたぬき

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